2004年 07月 20日
ネオフィリン処方入力の恐怖 |
今日は一般外来から喘息発作の幼児が入院した。入院カルテの指示欄にソリタ-T3(500ml)1本にネオフィリン6.5mlを溶解して20ml/hで持続点滴と書く。
ネオフィリンの製剤は1アンプルあたり250mgの薬が10mlに溶いてある。だからカルテ指示欄には6.5mlと書く。点滴の準備の時は液状の製剤は注射器で計量するから、看護師さん相手の指示はml単位でないと、作業中に要らぬ暗算を強いることになる。しかし注射薬処方のコンピュータ入力では0.65管と入力しなければならない。薬局が病棟へ薬を払い出すのも医事課が請求書を作るのもアンプル単位だからだ。
カルテにたった今「6.5ml」と書いたその手でコンピュータに入力するのだ。「6.5管」と入力してしまう恐怖を拭えない。徹夜の当直が明けた日なんて、その程度のミスは起きない方がおかしいくらいだ。
しかも単位は「管」しか選べないから、と、注射薬処方の入力プログラムはご親切にも単位の入力はしなくていい(できない)設計になっている。単位なしの生の数値を「0.65」と入力することになるのだ。プログラムを作った人は入力者の手間を省いて気を利かせたつもりなのだろうけれど、入力する側にすれば安全確認の機会を一段階ぶん奪われた思いである。選択肢が一個しかなくても敢えて意識的にそれを選ばせるのが慎重なやり方というものだ。
ネオフィリンの処方で小数点の位置を一個間違えたら受け持ち患児を殺すことになる。本気で死にますよ。ときどき新聞に出ています。気管支喘息あるいは「喘息性気管支炎」で10倍量の薬剤を投与されて小児が死亡ってやつ。なんせこの薬は2倍量で嘔吐します。3倍量で不整脈、4倍量で痙攣します。10倍なんて死ぬに決まってます。
まあ、医師の入力がどうあれ、看護師さんも点滴の準備の段階で輸液ボトルに10倍量のネオフィリンを何の疑問もなく充填してはよくないと思う。喘息の入院患児をあるていど看ていたら、この点滴は何だかおかしいと思わなければならない。思ったら医師に変だよと言えるくらいには病棟は風通しがよくなければならない。
コンピュータにしても、この子が1歳だと言うことは知っているのだから、6.5管なんて数値が入力されたら、「極量越えてるけど本気かい?」くらいの警報は出してくれても良さそうに思う。
致命的な医療ミスも、こういう些細な発端から生じるものだ。病院には地獄への落とし穴が思わぬところに口を開けている。落ちないように気をつけなさいって言うばかりでは能がない。あるとわかった落とし穴は埋めて欲しい。せめて、十重二十重に柵を巡らせて欲しい。落ちて一番痛い目に遭うのは患者さんなのだよ。
ネオフィリンの製剤は1アンプルあたり250mgの薬が10mlに溶いてある。だからカルテ指示欄には6.5mlと書く。点滴の準備の時は液状の製剤は注射器で計量するから、看護師さん相手の指示はml単位でないと、作業中に要らぬ暗算を強いることになる。しかし注射薬処方のコンピュータ入力では0.65管と入力しなければならない。薬局が病棟へ薬を払い出すのも医事課が請求書を作るのもアンプル単位だからだ。
カルテにたった今「6.5ml」と書いたその手でコンピュータに入力するのだ。「6.5管」と入力してしまう恐怖を拭えない。徹夜の当直が明けた日なんて、その程度のミスは起きない方がおかしいくらいだ。
しかも単位は「管」しか選べないから、と、注射薬処方の入力プログラムはご親切にも単位の入力はしなくていい(できない)設計になっている。単位なしの生の数値を「0.65」と入力することになるのだ。プログラムを作った人は入力者の手間を省いて気を利かせたつもりなのだろうけれど、入力する側にすれば安全確認の機会を一段階ぶん奪われた思いである。選択肢が一個しかなくても敢えて意識的にそれを選ばせるのが慎重なやり方というものだ。
ネオフィリンの処方で小数点の位置を一個間違えたら受け持ち患児を殺すことになる。本気で死にますよ。ときどき新聞に出ています。気管支喘息あるいは「喘息性気管支炎」で10倍量の薬剤を投与されて小児が死亡ってやつ。なんせこの薬は2倍量で嘔吐します。3倍量で不整脈、4倍量で痙攣します。10倍なんて死ぬに決まってます。
まあ、医師の入力がどうあれ、看護師さんも点滴の準備の段階で輸液ボトルに10倍量のネオフィリンを何の疑問もなく充填してはよくないと思う。喘息の入院患児をあるていど看ていたら、この点滴は何だかおかしいと思わなければならない。思ったら医師に変だよと言えるくらいには病棟は風通しがよくなければならない。
コンピュータにしても、この子が1歳だと言うことは知っているのだから、6.5管なんて数値が入力されたら、「極量越えてるけど本気かい?」くらいの警報は出してくれても良さそうに思う。
致命的な医療ミスも、こういう些細な発端から生じるものだ。病院には地獄への落とし穴が思わぬところに口を開けている。落ちないように気をつけなさいって言うばかりでは能がない。あるとわかった落とし穴は埋めて欲しい。せめて、十重二十重に柵を巡らせて欲しい。落ちて一番痛い目に遭うのは患者さんなのだよ。
by yamakaw
| 2004-07-20 22:58
| 日記