2004年 09月 11日
旭山動物園へ |
重度心身障害学会2日目午後。学会会場に戻っては見たけれど昼飯を食ったら眠くて仕方がない。このままでは居眠りして時間潰すばかりだと、学生時代以来のエスケープ決行。
タクシーに乗って「旭山動物園へ」と言ったら、え?動物園ですか?と聞き返されてしまった。こいつ旭川でタクシードライバーやってて旭山動物園も知らんのかと呆れたが、考えてみれば学会会場から終わりもしない時間に1人出てきてタクシーに乗る人間が告げる行き先は大抵は旭川空港のはずだ。学会さぼって動物園に行く医者が居るなど予想外だったのだろう。
で、見てきましたよ。日本一の動物園を。やっぱり日本一ですね。
決して規模は大きくありません。全部回るのに1時間ちょっとでした。早すぎたかな。
でも随所に工夫を凝らしてあります。
掲示は大抵が手書きです。一つ一つの内容を考え抜いて作ったと見えます。この手作り感が良いです。解説の内容は高度で詳細ですが衒学的ではなく、観察の時に何処に目をつければ面白いかに重点を置いてあります。
やれやれ。そういわれたら飛ばないかなとか潜らないかなとか期待してしばし鴨池で佇んでしまうじゃないですか。
小学生のレポートの優秀作品をそのまま掲示してあるところもありました。小学生って何処から調べてくるんだと不思議になるくらい詳細なレポート書くんですね。
ペンギン館では水中に通されたトンネルの透明な壁を通してペンギンが泳ぐのを見ました。泳ぐってのは語弊がありますね。この鳥は水中を飛ぶのです。速いです。まるでツバメですよ。陸上でよちよちと歩く姿の愚鈍なイメージが一新されました。あれは世を忍ぶ仮の姿なんですね。
アザラシ館でも水中を泳ぐアザラシを見ました。陸上でのたくる姿は、これでどうやって生き延びてきたんだと不思議なくらい愚鈍ですが、水中では飛ぶが如く舞うが如くってもので自在です。あの歩行にはまるで役に立たない後ろ肢は実は尾びれだったのですね。
観覧室の床下から天井まで透明なアクリルの円柱が立っており、そのなかをアザラシが悠然と上下します。私が見ているうちにも5往復くらいしてくれました。思うに、円柱に張り付くようにして幼児が二人大喜びしていたからに違いありません。アンコールに熱心に応えてくれていたのでしょう。賢そうな顔をしていますよ。猫なみに表情が豊かです。
北極熊の赤ちゃんは出生体重が600g位だそうで。やれやれ種族を挙げてあの寒い土地で超未熟児産んでるんかいと呆れました。でも保育器もなしにこのクマどもは北極で超未熟児を平然と育ててるんですね。俺ら新生児科医はなにをやってるのだろう。立場無いです。
北極熊も、ついでにアザラシも、母乳中の乳脂肪分が40%くらいあるそうです。人間の母乳の約10倍です。この超高カロリーの母乳に秘密があるようです。私らも未熟児の体重を増やそうとして吸収の良い油をミルクに加えることがありますものね。でもミルク40mlにオイル1ml程度が精々です。桁が違う。
超未熟児用特別強化乳「白熊ミルク」。ネーミングは良い感じですが。
北極熊の骨格標本を見たら、このクマどもが超未熟児を産むのも道理だと思いました。まさに産科医の悪夢です。腸骨の大きさは肩甲骨の半分以下。まるで相撲取りの上半身を幼児の腰に乗せたかのようなちっぽけな骨盤でした。
北極熊の檻には、地下からトンネルを通って地面に顔を出せるようになっています。頑丈がアクリルのドーム越しに間近にクマを見ることが出来ます。ちょうど空気穴から顔を出したアザラシの気分。
このアクリル大丈夫なんだろうねと思いつつおそるおそる首を伸ばして覗いてみました。クマと対面しているときにこのドームが割れたり外れたりした日には、私の頭も割れたり外れたりすることになります。学会さぼって動物園に来るってのはそこまで過酷な天誅に値する悪行ではないはずなのですが。
実際には、覗いてみるとクマたちはあちこちでゴロゴロするばかりで立ち上がってさえくれませんでした。殺気の代わりに呑気が漂ってました。勝手なもので、そうなると面白くない。なんか寄ってきてくれる策はないかななんて思ったりしました。まあ、この程度の天誅は仕方ないでしょうね。
オランウータンが高い塔の上に居ました。周囲を檻で囲うわけでもなく、塔の回りは人間向けの低い柵があるだけでした。地上に降り立って歩いて逃げると言うことは習性としてあり得ないという考えで飼われているように見えました。見上げていると、そのお腹から小さな手がにゅっと伸びました。赤ちゃんを抱いているのでした。これがまた可愛らしい。
落ちるんじゃないよと下からちょっとヤキモキしないでもないですが、そりゃ人間の成人が直立二足歩行しているのを見てこけるんじゃないよと心配するようなものかも知れません。彼らは森の哲人です。
今度は家族を連れて来なければなりません。
タクシーに乗って「旭山動物園へ」と言ったら、え?動物園ですか?と聞き返されてしまった。こいつ旭川でタクシードライバーやってて旭山動物園も知らんのかと呆れたが、考えてみれば学会会場から終わりもしない時間に1人出てきてタクシーに乗る人間が告げる行き先は大抵は旭川空港のはずだ。学会さぼって動物園に行く医者が居るなど予想外だったのだろう。
で、見てきましたよ。日本一の動物園を。やっぱり日本一ですね。
決して規模は大きくありません。全部回るのに1時間ちょっとでした。早すぎたかな。
でも随所に工夫を凝らしてあります。
掲示は大抵が手書きです。一つ一つの内容を考え抜いて作ったと見えます。この手作り感が良いです。解説の内容は高度で詳細ですが衒学的ではなく、観察の時に何処に目をつければ面白いかに重点を置いてあります。
カモには水中に首を垂直に突っ込むだけのものと潜水するものとがありますが、前者は足が身体の下についていて陸上歩行も得意です。潜水するものは足が身体の後方についていて水中での動きには便利ですが陸上歩行は苦手です。飛び立つときは前者はそのまま飛べますが後者は助走が必要です。見分けてみましょう。
やれやれ。そういわれたら飛ばないかなとか潜らないかなとか期待してしばし鴨池で佇んでしまうじゃないですか。
小学生のレポートの優秀作品をそのまま掲示してあるところもありました。小学生って何処から調べてくるんだと不思議になるくらい詳細なレポート書くんですね。
ペンギン館では水中に通されたトンネルの透明な壁を通してペンギンが泳ぐのを見ました。泳ぐってのは語弊がありますね。この鳥は水中を飛ぶのです。速いです。まるでツバメですよ。陸上でよちよちと歩く姿の愚鈍なイメージが一新されました。あれは世を忍ぶ仮の姿なんですね。
アザラシ館でも水中を泳ぐアザラシを見ました。陸上でのたくる姿は、これでどうやって生き延びてきたんだと不思議なくらい愚鈍ですが、水中では飛ぶが如く舞うが如くってもので自在です。あの歩行にはまるで役に立たない後ろ肢は実は尾びれだったのですね。
観覧室の床下から天井まで透明なアクリルの円柱が立っており、そのなかをアザラシが悠然と上下します。私が見ているうちにも5往復くらいしてくれました。思うに、円柱に張り付くようにして幼児が二人大喜びしていたからに違いありません。アンコールに熱心に応えてくれていたのでしょう。賢そうな顔をしていますよ。猫なみに表情が豊かです。
北極熊の赤ちゃんは出生体重が600g位だそうで。やれやれ種族を挙げてあの寒い土地で超未熟児産んでるんかいと呆れました。でも保育器もなしにこのクマどもは北極で超未熟児を平然と育ててるんですね。俺ら新生児科医はなにをやってるのだろう。立場無いです。
北極熊も、ついでにアザラシも、母乳中の乳脂肪分が40%くらいあるそうです。人間の母乳の約10倍です。この超高カロリーの母乳に秘密があるようです。私らも未熟児の体重を増やそうとして吸収の良い油をミルクに加えることがありますものね。でもミルク40mlにオイル1ml程度が精々です。桁が違う。
超未熟児用特別強化乳「白熊ミルク」。ネーミングは良い感じですが。
北極熊の骨格標本を見たら、このクマどもが超未熟児を産むのも道理だと思いました。まさに産科医の悪夢です。腸骨の大きさは肩甲骨の半分以下。まるで相撲取りの上半身を幼児の腰に乗せたかのようなちっぽけな骨盤でした。
北極熊の檻には、地下からトンネルを通って地面に顔を出せるようになっています。頑丈がアクリルのドーム越しに間近にクマを見ることが出来ます。ちょうど空気穴から顔を出したアザラシの気分。
このアクリル大丈夫なんだろうねと思いつつおそるおそる首を伸ばして覗いてみました。クマと対面しているときにこのドームが割れたり外れたりした日には、私の頭も割れたり外れたりすることになります。学会さぼって動物園に来るってのはそこまで過酷な天誅に値する悪行ではないはずなのですが。
実際には、覗いてみるとクマたちはあちこちでゴロゴロするばかりで立ち上がってさえくれませんでした。殺気の代わりに呑気が漂ってました。勝手なもので、そうなると面白くない。なんか寄ってきてくれる策はないかななんて思ったりしました。まあ、この程度の天誅は仕方ないでしょうね。
オランウータンが高い塔の上に居ました。周囲を檻で囲うわけでもなく、塔の回りは人間向けの低い柵があるだけでした。地上に降り立って歩いて逃げると言うことは習性としてあり得ないという考えで飼われているように見えました。見上げていると、そのお腹から小さな手がにゅっと伸びました。赤ちゃんを抱いているのでした。これがまた可愛らしい。
落ちるんじゃないよと下からちょっとヤキモキしないでもないですが、そりゃ人間の成人が直立二足歩行しているのを見てこけるんじゃないよと心配するようなものかも知れません。彼らは森の哲人です。
今度は家族を連れて来なければなりません。
by yamakaw
| 2004-09-11 19:40