2004年 08月 18日
開院おめでとうございます・・・新生児集中治療室から |
エキブロ総合病院ほんとにできました。
exciteにブログを作っておられる医療関係者を集めたブログが本格的に動き始めています。物事がうまく動き始める現場を見ているのは幸せな気分です。医療関係者のブログへのリンク集は便利さも格別です。あろうことか不肖「こども」のおいしゃさんである私でさえ有り難くもお誘いを頂きました。目に留めて頂くのは嬉しいことです。
仕事の不満をぐちぐちとウエブ日記やブログに綴る私のような小僧など相手にしない方が物事は上手く行くとは思うのですが・・・開設についての感想を書かせて頂きます。滑り出し前に書かれるといきなり腰が砕けるような内容ですが、これだけ順調に出発された後ならば私が少々水を差したところで動きが止まる事は無いでしょう。物理には慣性の法則というものもありますし。
総合病院のお誘いを受けて思ったのは、ブログの良さを生かさずBBSへと時代を逆行するような企画だなあ、ということでした。BBSやメーリングリストに比較してのブログの魅力は縦横無尽なトラックバックだと思います。ブログのトラックバックを活用した発言だと、発言が言いっぱなしになりません。関心が近ければトラックバックやコメントが重なって「縁」が深くなります。あちこちに「縁」を結び続けるうちに、豊穣なネットワーク構造が形成されていきます。医療に関心を持つ面々がお互いにトラックバックを重ねて作り上げるネットワーク。さぞや美しく勉強になる豊穣なネットワークになると思います。
またそのネットワークは医療関係者のみではなく必然的に他分野へ広がっていくと期待します。私のブログを読んで下さる人の多くが内田樹先生のブログもお読みになることでしょう。ぜひお読みになるべきです。そして内田先生の知性に刮目することになるでしょう。内田先生のところからはまた多くの興味深い人々(内田先生は「店子」と呼んで居られます)の日記を読むことができます。ネットワークが医療の枠を越えて広がっていきます。
エキブロ総合病院に期待するのは、BBS的にその場で完結する議論を深める場ではなく、そのネットワークを俯瞰するような場になり、読む人の「縁」を広げる契機になってほしいということです。いまいち具体的な提起じゃないですけど、まあ私も想像力に限界がありましてね。とりあえずエキブロ総合病院を見に来たら、誰かのブログで重ねられている議論のとっかかりが得られるとか。ネットワークの極めて重要な結び目の一つとして機能して欲しいと思います。
自分の関心事の範囲にあれば如何なる事であれ自由に発言できるというのはBBSもブログと同じですが(2ちゃんねるなんてその極致ですね)、BBSでの発言はそのBBSに限りますから、あちこちのBBSで発言していても、その発言者の全貌を把握することができません。ツリーしかできないのです。
発言者の全貌が見えないからこそ発言の自由が保てると言う向きもあるのでしょうが、そのような立場からの発言には、発言者の責任を担保するものがなにもありません。私は、そんなその場限りの発言には基本的に耳を貸したくありません。そのような匿名性の保証がないと危なくて発言できないような、自由を本格的に剥奪された立場からの発言ならば(バグダッド市民からの現地報告とか)、謹んで傾聴します。でもそんな追い込まれた状況からの発言はそうそう頻繁にはお目にかかれるものではありません。世の中はどうでもいいことを言いっぱなしにする無責任な発言で溢れています。
私には匿名性の裏目ばかりが目に付きます。
同じ内容でも発言者の立場によって信憑性や説得力が異なるということはオフラインでもよくあることです。オフラインで発言に関する発言者の責任を担保するのは、オフラインの発言者には一個の肉体に集約される一個の人格があり、そこに発言者の社会的立場なり信用なり業績なりが必然的に付随しているという事実です。
オンラインでは、著者の属性は結局は著者がそう名乗っているだけです。例えば本当のとこ私の新生児科医としての腕前はどうなの?と言われ出したら切りがない。医療関係者の我々にとってはオフラインの自分を証明しようと試みるのは守秘義務違反と紙一重の行為です。私が担当している超未熟児たちの病状を1人1人オンラインで報告するわけには行かんでしょうよ。
オンラインではオンラインで書いたコンテンツで勝負するしかありません。それも、発言者が意識して書いた内容ではなくて、その内容を発言者に言わしめた「構造」が、発言の説得力を規定するのではないかと思います。該当の発言者が各種の問題に対して発言した内容から鑑みてこの発言者の人格はこうなのだろう、知性の程度はどれくらいなのだろう、価値観のバランスのとれ方は公平なのかどうか、問題を分析する基本的なスキームとして何を採用しているか、その他もろもろ。
大事なのは「各種の」ってところだと思います。同一の(同一と称する)発言者の発言内容を複数の話題についてチェックすること。それを可能にするのが各種の話題に発言者のブログからトラックバックで言及していくという発言方法だと思います。過去に書いたコンテンツが、今のコンテンツの責任性の担保になります。いい加減なことを書いたら過去の文章の信憑性まで問われる羽目になる。
院長のabsinth先生が尊敬を集めているのもコンテンツが飛び抜けているためだと思います。さらにはオンラインの世界で私が一番尊敬する内田樹先生もまた、先生の大量の文章からその知性が偲ばれればこそ、多数の読者を惹き付けているのだと思います。
exciteにブログを作っておられる医療関係者を集めたブログが本格的に動き始めています。物事がうまく動き始める現場を見ているのは幸せな気分です。医療関係者のブログへのリンク集は便利さも格別です。あろうことか不肖「こども」のおいしゃさんである私でさえ有り難くもお誘いを頂きました。目に留めて頂くのは嬉しいことです。
仕事の不満をぐちぐちとウエブ日記やブログに綴る私のような小僧など相手にしない方が物事は上手く行くとは思うのですが・・・開設についての感想を書かせて頂きます。滑り出し前に書かれるといきなり腰が砕けるような内容ですが、これだけ順調に出発された後ならば私が少々水を差したところで動きが止まる事は無いでしょう。物理には慣性の法則というものもありますし。
総合病院のお誘いを受けて思ったのは、ブログの良さを生かさずBBSへと時代を逆行するような企画だなあ、ということでした。BBSやメーリングリストに比較してのブログの魅力は縦横無尽なトラックバックだと思います。ブログのトラックバックを活用した発言だと、発言が言いっぱなしになりません。関心が近ければトラックバックやコメントが重なって「縁」が深くなります。あちこちに「縁」を結び続けるうちに、豊穣なネットワーク構造が形成されていきます。医療に関心を持つ面々がお互いにトラックバックを重ねて作り上げるネットワーク。さぞや美しく勉強になる豊穣なネットワークになると思います。
またそのネットワークは医療関係者のみではなく必然的に他分野へ広がっていくと期待します。私のブログを読んで下さる人の多くが内田樹先生のブログもお読みになることでしょう。ぜひお読みになるべきです。そして内田先生の知性に刮目することになるでしょう。内田先生のところからはまた多くの興味深い人々(内田先生は「店子」と呼んで居られます)の日記を読むことができます。ネットワークが医療の枠を越えて広がっていきます。
エキブロ総合病院に期待するのは、BBS的にその場で完結する議論を深める場ではなく、そのネットワークを俯瞰するような場になり、読む人の「縁」を広げる契機になってほしいということです。いまいち具体的な提起じゃないですけど、まあ私も想像力に限界がありましてね。とりあえずエキブロ総合病院を見に来たら、誰かのブログで重ねられている議論のとっかかりが得られるとか。ネットワークの極めて重要な結び目の一つとして機能して欲しいと思います。
自分の関心事の範囲にあれば如何なる事であれ自由に発言できるというのはBBSもブログと同じですが(2ちゃんねるなんてその極致ですね)、BBSでの発言はそのBBSに限りますから、あちこちのBBSで発言していても、その発言者の全貌を把握することができません。ツリーしかできないのです。
発言者の全貌が見えないからこそ発言の自由が保てると言う向きもあるのでしょうが、そのような立場からの発言には、発言者の責任を担保するものがなにもありません。私は、そんなその場限りの発言には基本的に耳を貸したくありません。そのような匿名性の保証がないと危なくて発言できないような、自由を本格的に剥奪された立場からの発言ならば(バグダッド市民からの現地報告とか)、謹んで傾聴します。でもそんな追い込まれた状況からの発言はそうそう頻繁にはお目にかかれるものではありません。世の中はどうでもいいことを言いっぱなしにする無責任な発言で溢れています。
私には匿名性の裏目ばかりが目に付きます。
同じ内容でも発言者の立場によって信憑性や説得力が異なるということはオフラインでもよくあることです。オフラインで発言に関する発言者の責任を担保するのは、オフラインの発言者には一個の肉体に集約される一個の人格があり、そこに発言者の社会的立場なり信用なり業績なりが必然的に付随しているという事実です。
オンラインでは、著者の属性は結局は著者がそう名乗っているだけです。例えば本当のとこ私の新生児科医としての腕前はどうなの?と言われ出したら切りがない。医療関係者の我々にとってはオフラインの自分を証明しようと試みるのは守秘義務違反と紙一重の行為です。私が担当している超未熟児たちの病状を1人1人オンラインで報告するわけには行かんでしょうよ。
オンラインではオンラインで書いたコンテンツで勝負するしかありません。それも、発言者が意識して書いた内容ではなくて、その内容を発言者に言わしめた「構造」が、発言の説得力を規定するのではないかと思います。該当の発言者が各種の問題に対して発言した内容から鑑みてこの発言者の人格はこうなのだろう、知性の程度はどれくらいなのだろう、価値観のバランスのとれ方は公平なのかどうか、問題を分析する基本的なスキームとして何を採用しているか、その他もろもろ。
大事なのは「各種の」ってところだと思います。同一の(同一と称する)発言者の発言内容を複数の話題についてチェックすること。それを可能にするのが各種の話題に発言者のブログからトラックバックで言及していくという発言方法だと思います。過去に書いたコンテンツが、今のコンテンツの責任性の担保になります。いい加減なことを書いたら過去の文章の信憑性まで問われる羽目になる。
院長のabsinth先生が尊敬を集めているのもコンテンツが飛び抜けているためだと思います。さらにはオンラインの世界で私が一番尊敬する内田樹先生もまた、先生の大量の文章からその知性が偲ばれればこそ、多数の読者を惹き付けているのだと思います。
by yamakaw
| 2004-08-18 15:21