こどものおいしゃさん日記 うしろすがたのしぐれてゆくか

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小児神経科長期フォローアップ

小児神経科長期フォローアップ
佐々木 征行 / / 診断と治療社

慢性の神経疾患で在宅人工呼吸管理になったりならなかったりなれなかったりした患者さんたち9例の長期経過を、とくに治療方針の決定に関する家族との対話を中心に述べた書である。マニュアルというよりはナラティブ的な一冊である。家族の立場からの報告はなくもなかったが、医師による類書は初めてではないだろうか。何の縁でかグーグルの検索で当ってきたので、さっそく購入して一読した。

暗中模索を余儀なくされてきた医師の一人として、貴重な指針となる本だと思った。なんでもっと早く世に問うてくださらなかったかと慨嘆すらした。今後はおりにふれ読み返すことになろうと思う。むろん本書に盲従しようと思ったわけではない。批判精神を欠いた読み方は著者も欲しないだろうと思う。盲従はしないが、しかし、類書は今まで管見のおよぶかぎり一冊もなかったのである。暗中に光を得た思いがする。

著者は国立精神・神経センター武蔵病院小児神経科の部長を務めておられる。当然、斯界の第一人者のおひとりである。その佐々木先生にしてここまで迷われるかと思えたほど、揺れ動いては熟慮を重ねて歩を進めて来られた様子が紙背に伺える。その先達の背中に力づけられた。

色々と難しげなMRI所見や神経生理学的検査所見が載っているが、本書は医師以外にも在宅の重症児にかかわるすべての職種の人にお読みいただきたいと思う。そうは言っても高価だから経費で落とせない立場の方々にはお勧めしにくいが、しかしご家族のみなさまの感想もぜひお伺いしたいと思う。
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by yamakaw | 2008-05-18 18:35 | 読書