こどものおいしゃさん日記 うしろすがたのしぐれてゆくか

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甘くなったメイアクトは使い潰されるだろう

メイアクトにバナナ味の製品が出た。明治のセールスマンが説明に来た。製薬が製菓と共同でなんとか甘くしてみました、とのことだった。今はこどもの間でバナナ味が流行してますから、とのこと。たしかに飲みやすくなっていた。

これでメイアクトの命運は尽きた。

メイアクトは小児科外来で処方できる経口抗生物質の中ではフロモックスと並んでおそらく最強の抗菌力をもつ薬である。抗菌力は最高ながら、なにぶん従来の製品は恐ろしく苦くて内服する方も処方する方も覚悟が要った。私がメイアクトを処方するのは重症の急性中耳炎のときくらいだが、親御さんには、随分苦いですけど今はこの薬が是非とも必要なんですからねとよくよく説明をする。

しかし、覚悟して飲まねばならぬ苦みの故に、メイアクトは長らく最強であった。念のためと称して発熱を主訴に受診した患者さん全員にサービス気分で抗生物質を処方する医師もメイアクトだけは敬遠していたからだ。

開発段階ではおそらく現在のメイアクトと同じ菌種をターゲットにしていたのであろうセフゾンは、その味の良さ故に、発熱したこども全員に取り敢えずセフゾンを出しておくという診療が蔓延している。そしてセフゾンに耐性を持った菌もまた。セフゾンはそろそろ使い潰されている。最強の地位を明け渡して久しい。やがてアリバイ工作のための念のため処方にすら使われなくなっていくことだろう。そうして抗生物質は消えていく。ケフラールがそうであったように。

今後はメイアクトの耐性菌が広まっていくだろう。メイアクトに耐性をもったインフルエンザ桿菌なんかが世間で急性中耳炎を起こし始めたらいったいどうやって治療をしたらいいのだろう。メイアクト以上に「切れる」経口抗生剤は日本には出回ってないんじゃないか?

頭がくらくらする。
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by yamakaw | 2004-07-14 21:02 | 日記