こどものおいしゃさん日記 うしろすがたのしぐれてゆくか

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昭和史1926−1945 半藤一利 平凡社 東大一直線と関連して

ぜひ一読するべき書物だと思います。

なんだって無謀な戦争をしたのだろうと思ってはいましたが、そこにはそれなりに深謀遠慮とか駆け引きとか分析とか止むに止まれぬ事情とかがあったのだろうと思っていました。キャプテン・ハーロックに松本零士が語らせるような美学的なことも若干はあったのだろうと思っていました。

でも、この書を読んでかなり認識が変わりました。

先の戦争に至った経緯を描く適任者は松本零士ではありません。
松本も戦場でのエピソードを個別に描きこそすれ、戦争に至った政治レベルの話は書いてませんしね。その歴史を描く適任者は小林よしのりです。彼が右傾化したのはかなり事情の本質を突いています。

日本を先の戦争に至らしめた事情に通底するのは、単純一途な思いこみとか、自分の能力が分からない浅はかさとか、周囲の状況がまるで見えない愚かさとか、自分の思いどおりに事が運ぶと信じ切ってしまう幼児性とか。

まあ、「東大通」が日本の中枢によってたかってやりたい放題やったのですな。

戦前の日本の歴史は「東大一直線」の世界だったのですな。山本五十六はあの「ちょんまげ先生」の立場にあったのですわ。ははは・・・・笑いが乾いていきます。

「東大一直線」では、学力など欠片もない劣等生の東大通が何故か自分は東大一直線の優等生だと信じ込み、がり便に励んだ挙げ句、節目節目の模擬試験や本試験では常人を越えた奇跡を起こして良い成績を上げていきました。最後はどうなったかな。見開き2ページが墨で真っ黒に塗られていた記憶がありますが・・・たしか東京大学そのものが崩壊してなかったかな。

そういう、圧倒的な彼我の実力の違いがまるで目に入らず思いこんだ方針を一途に追求していくのは、東大通も戦前の軍部や政府も変わらないのですが、ただ旧軍は東大通とは違って節目節目のここ一番に奇跡的な勝利を得つづけることはできませんでしたし、一国の歴史は週間少年ジャンプの連載漫画じゃないんだから終末が派手に美しければよいってものでもないです。でも小林はそういう旧軍の精神のあり方にかなり親近感をもってるんじゃないかな。自分の出世作の主人公に通じるものを感じているのではないかな。小林の右傾化の度合いって、なんだかよほど深い事情がないと説明つき難いような気がするのですが。

なんか東大一直線の話になってしまいました。「昭和史」本筋の話はまた二読三読した後で。でもまあ、買って読むべきですよ。価格と時間のコストは十分に取れます。
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by yamakaw | 2004-07-04 23:34 | 読書