こどものおいしゃさん日記 うしろすがたのしぐれてゆくか

childdoc.exblog.jp
ブログトップ

わたしのなかのあなた

わたしのなかのあなた
ジョディ ピコー Jodi Picoult 川副 智子 / 早川書房
ISBN : 4152087633

重い内容だった。あんまり重くて途中で何回も休憩が必要だった。しかし重大な内容だし、だいいち面白いので、放り出すこともできなかった。「アルジャーノンに花束を」を想起させる、ずっしりと重い読後感が残った。

小説としても十分に完成していて面白いのですが、生命倫理の優れた教科書としても読めます。また、小児科の、とくに看護スタッフの皆様にはぜひ読んで頂きたい。患児の親やきょうだいってこういうふうなんだなと。すごく適確に描いてあると思います。

最後の最後になって作者自身が物語の重さに耐えかねて自壊したかのような結末でした。最後のページを先に読んではいけません。読む気が失せます。実際にはどんでん返しが2回あるので、最後のページだけ読むと、物語のいちばん美味しいところを読み落としたまま本書を放り出すことになりまねません。法廷でのどんでん返しとしては、これほど衝撃的なシーンは「極大射程」くらいしか思い当たりません。

余談ではありますが、たとえ小説のなかのことであれ、法廷で医者を尋問する弁護士を応援したのは初めてです。作者も、私生活で多少なりとも医者の恩恵に与っているとわざわざ前書きに書くくらいなら、もうちょっと医者を思慮深そうに書いて欲しいものです。

犬のあの能力については、私の貧しい臨床経験でも思い当たるふしがあります。
[PR]
by yamakaw | 2006-10-03 18:38 | 読書