こどものおいしゃさん日記 うしろすがたのしぐれてゆくか

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敬語になれてしまっていると

私は医者だから大抵は敬語を使って貰える立場にある。家族を除けば私にため口をきく人間は居ない。ときおり若い御両親にため口をきかれることはあるが、そう言う時はこちらもため口にしてみても抵抗無く話が進むので、それはそれでよいと思う。

最近、偶然なのか、出勤時に、患者さんが警備員さんに案内を求める場面に何回かいきあたった。そのおりの患者さんの口調に、たじろぐ思いをした。初めて来た病院の職員なんだから初対面なんだろうけど、初対面の人間に対するにしては随分と攻撃的で尊敬の念に欠けた口調であった。ため口というにも些か乱暴なというか、同じ口調で返答したらたちまち「職員が無礼である」と投書に書かれそうな(或いは直接に医事課や病院長室に怒鳴り込まれそうな)、そういう口調であった。

当院は傾斜地にあって、駐車場から病院までの経路が、初めての人には少しく難しい。玄関まで階段も挟む経路を歩かされる苛立ちもお持ちなのだろうとは拝察する。それに事情はどうあれ、患者さんたちに礼儀云々という立場には、私はもとよりない。ただ、自分がたじろいだという、記事のテーマはそれだけである。自分が悪い意味で「お医者様」になって、貴族的にお高く軟弱になったのかどうか。平忠盛を下臈と蔑んだ貴族たちの轍を踏んで落ちぶれていく羽目になるのか。そっち方面を反省しておきたいと思った。

たとえあの口調が世間のスタンダードだったとしても、それはそれで平和だってことかも知れないなとは思う。相手が何者か分からぬうちは当方の懐のうちは見せない。言葉は敬語で丁寧に、態度はフレンドリーと慇懃の間のどこかにおいて、でないと相手がどう豹変するか分かったもんじゃない、というのが、自らを省みての私自身の世渡りスタンスではあった。それに20年前に関西に来て、こちらの人が話し相手にずいぶん簡単に阿呆と言うので驚いたことではあった。九州では恐らく喧嘩になると思った。何や彼や。

まあ、患者さんがお出でになる時間帯にはちゃんと業務を始めてろよという、ご叱責もあるかもしれませんが。すみませんです。
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by yamakaw | 2006-09-13 23:34 | 日記