こどものおいしゃさん日記 うしろすがたのしぐれてゆくか

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働くヒーローとしての機関車トーマス

息子は朝からBSフジで機関車トーマスを観ている。たぶん、ようやく機関車トーマスのストーリーを鑑賞できるようになったのだと思う。昔からトーマスは嫌いではなかったが、それは機関車の蒐集を楽しむ鑑賞だった。プラレールのトーマスシリーズを集め、「トーマス大百科」を眺めるたぐいの。何にしても世の中に楽しめるものが増えるのは幸せなことだし、トーマスを観るためにきっぱりと早起きする習慣がついてくれて親としても便利で嬉しい。私も出勤前にお相伴して観ている。「じこはおこるさ」という挿入歌には参るが、総じてとても楽しい。

機関車トーマスは、子どものヒーローとしては稀な、「よく働くヒーロー」である。「役に立つ機関車」であることを誇りにしている。失敗もするが励まし合って再起する。「悪い奴らをやっつけるヒーロー」ではないのがとてもよい。悪役も出るには出るが、トーマスシリーズの悪役はレギュラー陣に退治られるのではなく、仕事が甘かったり態度が悪かったりして居場所を無くした結果として退場してゆく。

彼らは日々の仕事をおのおの勤勉に働く。高出力のテンダー機関車が急行を引き、小回りのきくタンク機関車が支線を走り、入れ替え作業もする。古くなった機関車も、豊富な経験を生かして扱いにくい貨車たちを上手に扱う。それぞれがそれぞれの仕事に誇りを持ちながら、違う仕事をする仲間をお互い尊敬しているのが、とてもよい。「働く」ということがどういうことか、子どもたちに教えるのに、機関車トーマスシリーズは優れた資料である。

寡聞にして、トーマスとその仲間たち以外に、「勤勉」を最大の徳とするヒーローを知らない。たぶん、色々なヒーロー思想があっていいのだろう。子どもたちのヒーローの皆が皆、勤労を徳義とするヒーローだったりしたら、それはそれで随分と息苦しい状況だろうと思う。そういう状況では息子はどちらかといえば肩身の狭い思いをすることになるだろうし。しかし一方で、トーマスたちくらいは、自分が役に立つ機関車であることを単純に尊ぶヒーローがあってもいいと思う。

むろん負の教訓もある。「仕事の機械には半端な人工知能を載せてはいけない」というのが機関車トーマスシリーズの教訓である。(ちなみに「間違って押してしまう位置には自爆スイッチをつけてはいけない」というのがタイムボカンシリーズの教訓である)。でもまあ蒸気機関なんて、操作する側から見れば、まるで何か考えてるんじゃなかろうかと思えるくらいに不安定な機械なんだろうなと思う。石炭投入の技術ひとつで出力が変動するとも聞いたことがある。蒸気機関車を擬人化するのは案外と、昔の機関士たちには日常的な発想だったのかもしれない。
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by yamakaw | 2006-05-17 21:56 | 日記