こどものおいしゃさん日記 うしろすがたのしぐれてゆくか

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どうぶつのおいしゃさん の講演

重症心身障害学会第1日・午後。

北海道で野生動物の診療を行ってこられた獣医である竹田津先生が、「動物と人とのコミュニケーション」という題で特別講演をされた。大変面白かった。全編収録って訳にはいかないけど、まだ未消化の断片を書き留めておきます。





想像がコミュニケーションの基本だと言われた。担ぎ込まれた野生動物には病状を語ってくれる飼い主はない。全ては自分の思考と想像から始まらざるを得ない、のだそうな。

コミュニケーションの全てが始まるのが自分の想像であるという自覚が良い。レヴィナスや内田樹先生と話が合いそうなことを言われる。

色々なことを想像する人が沢山いることが大事だとも言われた。科学者の集団ってのが最低なんだと。科学者の想像は単純に過ぎるのだそうな。その点で先生は子供の想像力を大変に買っておられる。また臨床実務でも、コミュニケーションに関して先生や奥さんでは上手く行かない事を先生のお子さんは平然とやってのけるそうで。外遊びから帰りたがらぬ子狐たちを呼び集めるのに必要だってんで小学校から娘を連れ出すってのもどうかと思うけどねえ。

普遍化・システム化、という考え方には陥穽が潜むとも言われた。物事の複雑性の豊穣さを捨ててはいけないと。

コミュニケーションで自分が保護者だという考え方を持つと失敗すると言われた。常に対等と思えば不思議に上手く行くという。例えば野生動物の入院「患者」に噛みつかれたらとっさに噛みつき返せと。そこを敢えて我慢してしまうと後が拗れるそうな。自分が持っている言葉をちゃんと話すことが大事だとも仰ったが、これに関連することだろうか。対等な立場でちゃんと話すこと。


各論だが、キタキツネの子育ては、第1子は3割から4割くらいは失敗するそうだ。母狐は心理的に相当不安定になるらしい。竹田津先生はまるで児童相談所の職員みたいに、被虐待児の子狐を、やたら子を噛む親狐から隔離し入院させたことがあるそうだ。結局は心理的な回復が得られなかったのか、竹田津先生の手元でも自傷が絶えず、自分の尾と両下肢を食いちぎってしまったという。痛々しい限りで言葉がない。でもまあ、今後は野生動物でも子育てをきちんとするのに人間だけが虐待する等と訳知り顔に語るバカが居たら鼻で笑ってやろうとは思う。


それにしても、日本重症心身障害学会でこの演題では、浅薄な人からは、重症児を動物扱いするのかという批難も受けるかも知れないが、学会もそんな低レベルの批難を真に受けるほどナイーブじゃないしね。
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by yamakaw | 2004-09-11 19:03 | 日記